アジアリート市場動向についての四半期レポートが発行されたので、中身を確認していきます。
まずは世界のREIT市場の中でアジアリートはどれぐらいの規模であるかの確認です。
グローバルリート市場は約138兆円です。この中で米国が90兆と約65%を占めています。日本も約11兆と8%を占めています。そしてアジアリートは全体の約5%である6.5兆となっています。規模的には日本の約半分程度といったところでしょうか。
<マーケット価格推移>
直近1年での価格推移を見ていきましょう。
2016年8月を100とした際の推移です。米国・日本のリート市場が伸び悩む中、香港・シンガポールのアジアリートは堅調に推移していることがわかります。
一口あたりの配当金も伸びており、リート投資のメリットである配当面からもプラス材料を示しています。シンガポールは2015年からやや下落傾向にあったものが昨年末より回復し、値をさらに伸ばしています。
<マーケット概況>
シンガポールREITの悪材料としては、オフィス賃料が下落傾向にあり、空室率も上昇傾向にある点です。
大型物件の供給がピークを過ぎたため、今後は徐々に改善が見込まれています。
ただ、現地ではコンドミニアム含めた住宅物件はまだまだ建設中のものも多く、継続して状況を注視する必要があります。
<バリュエーション面>
次に投資にあたってのバリュエーションを見ていきましょう
他国に比べて、3.2%のリスクプレミアムと比較的高い水準ではいますが、年初からの価格上昇に伴い、魅力は下がってきています。
リスクプレミアム推移は以下、
2016年9月以降、下落傾向なことがわかります。
PBR面では、現在1.04倍とほぼ平均PBRと同水準にいます。ここからさらに価格上昇し、もしPBR1.2倍水準までいくことがあれば、ポートフォリオの配分見直しを考えたほうがよいかもしれません。現状としては、継続して買い進め、インカムゲインを伸ばしていくつもりです。
PBR面で気になる点といえば、価格がこれだけ上昇している香港が1.0倍を下回っている点です。簿価での不動産価格が上昇すれば、当然分母が増えるので、あくまで簿価での不動産価値vsリート価格の指標であるという点です。
そもそも不動産価格が高騰しすぎているケースでは、PBR指標では現況を把握しずらい傾向があるので、この点には注意が必要です。